地球を経営する視点〜1994年読売新聞記事から〜(2009年10月)

2009年10月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

日本も含めて世界が大きく変わろうとしている、そのようないまを迎えたのではないかという気がいたします。そのような変動を目の当たりにしながら、私がかなり昔に書いた新聞記事のことを思い出しました。

いまここにありますが、カメラでは捉えにくいと思いますので読みます。1994年(平成6年)12月8日、木曜日、読売新聞に「21世紀の「宇宙」を前に 地球を経営する視点」という記事を書きました。どういうお話をしているかといいますと、いまから15年ぐらい前、グローバルな視点で宇宙を含めて地球を考えるという議論がぼつぼつとささやかれていた時代であります。一部を抜粋して読みたいと思います。

「正しい宇宙の距離感の獲得のために最も貢献した国は、アメリカである。今世紀、アメリカが宇宙の研究に注いだ知的エネルギーはすさまじい」、今世紀というのは20世紀のことです。

「我が国の天文学者は、この(アメリカの作った)枠の中であれこれ仕事をしてきた。いまだに新しい枠をつくるという天文学的貢献は、我が国からは稀である」ということです。幸いなことに、15年を経て、かなり我が国初の新しい潮流、研究の流れも出てきておりますので、この点は次第に書き換えられつつあるといっていいのではないかと思います。

さらにこの記事は企業経営についても話を続けておりまして、「例えば企業経営においても、我が国の企業は活動の方針の大枠を自ら創案したわけではなかった。努力すべき大枠は既に与えられており、我が国は努力することに専念できた。もちろん、この努力自体は素晴らしいものだったのだが」ということです。

さらに続けます。「21世紀は、このままではすまない。アメリカの知的創造的生産力は緩やかに下降傾向をとっている。我が国の果たすべき当面の役割は、その一部を肩代わりし、自ら課題を掘りおこして、人類にとっての次の行動の方針を提起することにある。これは、地球の「経営」に立案から参画することである」ということを書きました。

このような地球を経営する視点、我が国も含めて地球全体に主体的に関わって大きな方針を提起していくということが、15年前の私の一文に込められた夢であったわけです。ここ数カ月の非常に短い期間のうちに、これが現実のものになってくれるかもしれないという期待、あるいは兆しが、ほのかではありますが、みえてきたように感じられます。これからの展開を注意しながら見守っていきたいと思っております。

どうもありがとうございました。

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