『宇宙100の謎 2』(2012年3月)

2012年3月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。少し遅れてしまいましたけれども、今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

ここ2、3カ月の間に新しい本を出しました。きょうはそれについて、宣伝も兼ねて、皆さんにお知らせしようと思います。

まず、1冊目は『宇宙100の謎』です。帯には「宇宙って何色なの?」と書いてありますけれども、これはすでに3年ほど前、東京新聞社から出版された同じ書名の本の文庫版です。さらに読みやすく、小さくなった本です。角川文庫から出ていますので、さらに多くの方に気軽に読んでいただけるといいと思います。

そもそも、この『宇宙100の謎』は、5年あまり前に全国の多くの方々にお願いして、宇宙について一番知りたいこと、疑問に思っていることを知らせてほしいというキャンペーンを行いました。小学生からお年寄りの方も含めて、全国のいろいろな方々から、大変多くの反響と、全部で1000近いご質問をいただき、そのなかから100問を選んで、だいたい2ページを基本にお答えするという試みでした。いろいろな広い課題をカバーしています。

そして、この本は基本的に、いままで宇宙に関心を持っていなかった人、あるいは「宇宙の本なんて自分には難しくて読んでもわからないのではないか」と思っている方でも、手に取って読んでみたいと思える本にしたいと考えました。そのような意味で、天文学の一つの新しい入口になって、さらに興味を持たれる方、基礎科学に対して関心を持たれる方のすそ野を広げていきたいという狙いを持って作った本です。ですから、通常の宇宙の本とは少し種類が違うのではないかという気がします。いろいろな天文学の素材を、場合によっては歴史的な、あるいは文学に関係する話題も取り上げておりますので、非常に広い方に読んでいただけると思います。

ちなみに、パート1では100問にお答えしたのですが、そのうち30問については、この文庫本のために新たに書き直しました。やはり3年経つと、表現を改めたほうがいいのではないかということが、いろいろ出てきます。著者として100%完全で不満がない本というものはなかなか作れないものでありまして、私としてはさらに努力を続けていきたいと思っておりますし、『宇宙100の謎』という一つの運動には、まだまだ終わりがないのではないかと思っています。

さて、きょうのお話の後半は、そのような流れのなかで、ことしの2月に2冊目の『宇宙100の謎 2』が出版されました。これは1冊目と同じ大きさで、同じ体裁です。タイトルに「2」と書かれていまして、一部、オーバーラップはありますけれども、90問程度は全く新しい、最初に寄せられた質問で1冊目には盛り込めなかったものに対して新たな答えをまとめた本になっています。

出版社の方々ともお話しして、ほぼ1年前に我が国は大変不幸な災害に見舞われてしまいましたが、それに伴って宇宙と原子力の関係、あるいは震災、地震との関係が大きくクローズアップされました。そのような問題に対しても、いくつかの質問と答えを新たに用意しました。具体的には、例えば「宇宙と地震とは関係があるのですか?」あるいは「原発施設を宇宙に廃棄することはできないのでしょうか?」という新しいご質問に、これはその後の講演会等でも頻繁に出てくるご質問の一つですが、お答えしています。

さらに広く、宇宙を含めて私達の社会を考えていくきっかけにしていただけるといいのではないかと思っております。

きょうは2冊の新刊をご紹介して、今月のメッセージに代えさせていただきます。どうも皆さん、ありがとうございました。

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