平成15年度発足 科学研究費補助金 特定領域研究
サブミリ波帯からテラヘルツ帯に至る 宇宙観測の開拓
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研究目的
新たな波長帯の開拓:サブミリ波からテラヘルツ帯
サブミリ波の重要性
研究遂行上の2つの特色
最高のサイトとしてのアタカマ高地
「検出器工場」の創設
国際的情勢
南天からサブミリ波天文学へ
研究内容
研究成果
公募研究
リンク
南天からサブミリ波天文学へ:国内状況

我が国は、1980年の野辺山宇宙電波観測所の開設にともなって、強力なミリ波天文学の基盤を構築し、一気に世界の電波天文学のトップ水準に追いついた。同時に、国内研究者層の育成にも成功した。これらの研究によって、原始星の発見、原始惑星系円盤の発見、多くの新星間分子の発見、銀河中心核のブラックホールの発見、原始銀河候補天体の発見など、世界に認められる顕著な成果が挙がっている。


1990年代には重点領域研究「星間物質とその進化」が推進され、星間化学を中心に多くの成果があがった。さらに1997年以降、特定領域研究「マゼラン星雲大研究」によって、名大物理・東大天文の各グループは、南天観測を展開した。

福井康雄(本領域申請代表者)らの名大物理グループは、南米チリ共和国のラスカンパナスに我が国初の海外天文台を設置し、口径4メートルのミリ波サブミリ波望遠鏡「なんてん」による南天の開拓を進め、チリにおける観測基盤を構築した(図1)。「なんてん」の観測は、マゼラン雲の巨大分子雲の全貌を解明し(図2)、また、史上最大規模の高分解能分子雲地図(図3)を作るなどの画期的成果を挙げ、観測の乏しかった南天の研究をガイドする貴重な観測データを獲得した。



一方、山本智(本領域計画研究代表者)らの東大物理グループは、富士山頂にサブミリ波望遠鏡を設置し(図4)、サブミリ波帯広域観測を創始して星間炭素原子の分布を周波数492GHzと809GHzにおいて観測することに成功した(図5,図6)。中性炭素を主とする若い進化段階の星間雲をおうし座に発見した他、中性炭素の分布は分子雲の表面に分布するのではなく、むしろ分子雲と共存関係にあることを初めて明らかにして、単純な理論的モデルの限界を指摘するなど、先進的な成果をあげた。さらに長谷川哲夫(「マゼラン星雲大研究」領域代表者、2000年に国立天文台に移動、本領域計画研究分担者)らの東大天文グループは、口径60cmのミリ波望遠鏡をチリに設置して、一酸化炭素分子の波長1.3mmスペクトル(回転量子数J=2-1)の広域観測を行い、同じ分子の基底状態のスペクトル(回転量子数J=1-0)との比較から、分子雲の温度分布を描きだして銀河内重元素分布に勾配があることを示す手がかりを得た。



これらの研究は、本領域の目指す南天研究への展望を大きく切り開き、サブミリ波天文学の本格的展開に向けた貴重な地歩を固めたものである。この基盤の上に立つ発展として、口径10メートルのサブミリ波望遠鏡ASTE(=Atacama Submillimeter Telescope Experiment)が2001年に完成し、国内での試験観測を終えて、2002年度中にアタカマ高地(図7)において稼働を始めようとしている(各大学・国立天文台協同)(図8)。


以上の計画を支える超伝導受信機の開発にも進歩があり、国立天文台、名古屋大学等における高感度ミリ波サブミリ波検出技術の開発が強力に進められ、100GHz帯からテラヘルツ帯にいたる波長域で世界最高水準の受信性能を達成し、本領域研究の基盤を提供している。

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