検出器の心臓部は、ニオブ等を用いた0.1ミクロンオーダの薄膜接合からなる超伝導素子である(膜厚は数10オングストローム)。この種の超伝導素子は、過去には富士通研究所などの企業でもつくられていたが、現在国内には、国立天文台の1カ所に設備があるのみである。この状況は、今後のサブミリ波技術の展開を考えたとき、大きな障害であるといわざるを得ない。周波数によっていくつかの異なる素材の素子を種々の蒸着パラメータによって製作することが必要であるが、単一の施設では素材が変わるたびにパラメータの測定と最適化の実験をゼロからやり直す必要があり、極めて効率が悪い。本研究は、名大と東大の国内2カ所にそれぞれサブミリ波用とテラヘルツ帯用の素子製作施設を新たに設置して、高い効率で素子が実験に供給される体制を保証する。これにより、それぞれの周波数に最適化した素子パラメータを迅速に実現できる、強力な開発体制を確立したい。
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