平成15年度発足 科学研究費補助金 特定領域研究
サブミリ波帯からテラヘルツ帯に至る 宇宙観測の開拓
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研究目的
新たな波長帯の開拓:サブミリ波からテラヘルツ帯
サブミリ波の重要性
研究遂行上の2つの特色
最高のサイトとしてのアタカマ高地
「検出器工場」の創設
国際的情勢
南天からサブミリ波天文学へ
研究内容
研究成果
公募研究
リンク
サブミリ波の重要性 

本研究領域は、波長1mmから300ミクロンにいたるサブミリ波からテラヘルツ帯を集中的・開拓的に観測し、世界に先駆けて主要な現象をとらえて、宇宙認識を大きく拡大する重要な一歩を踏み出すためのものである。


サブミリ波観測の意義は、大きく次の3点に要約される。


1)銀河、星団、惑星系等の天体形成機構の解明
2)星間空間における新物質の検出
3)100億光年かなたの遠方銀河の重元素の検出



1)天体形成機構
サブミリ波はおおむね、低温・高密度の星間物質から放射される。このような物質中で、星を始めとする、宇宙をくみたてる構成要素=天体が形成される。天体形成は、惑星系、星、星団、さらに銀河自体におよび、宇宙の未来を運命づける基礎的過程である。1980年代から2000年にかけて展開された星間分子雲のミリ波帯観測は、主に低密度の分子雲の姿を明らかにしたが、ガスの重力凝縮の全体像を解明するには至っていない。特に、原始銀河で爆発的な星形成を起こしているガス、超新星爆発の衝撃波によって強く励起されたガス、惑星系形成に直結する高密度ガスなどは、サブミリ波帯の高励起スペクトルによって初めて全貌がとらえられる。天体形成過程の解明には、サブミリ波観測が本質的に重要である。


2)新物質の検出
中性炭素など、サブミリ波帯にのみ固有の線スペクトルを持つ原子・分子がある。特に炭素、窒素は重要な重元素であり、その直接観測を抜きにして星間物質の循環、進化を論ずることはできない。これらの原子は、水素よりも低い電離ポテンシャルを持ち、複雑な光解離領域を形成しているはずであり、その構造を解明することは、これらのスペクトルをプローブとして活用するためにも不可欠である。このほかサブミリ波にのみ線スペクトルを放つ分子があり、本研究によって新物質発見の可能性もある。また、予想をこえた未知の現象の発見につながる公算も高い。


3)遠方の原始銀河
初期宇宙には、膨大な量の星間物質を持ち、爆発的に星形成を行っている若い銀河(原始銀河)が潜んでいると予想される。これらの銀河では、星からの放射が星間塵に吸収され、そのエネルギーのほとんどが波長100ミクロン付近の遠赤外線域で再放射される。サブミリ波は、赤方偏移により長波長化した「若い遠方銀河の放射」を選択的にとらえる上で最適な波長帯である(下図)。さらに、本領域で目的とするサブミリ波での分光観測を行うことにより、重元素をふくむ原始銀河内のガスの定量が可能となる。これらの観測から、星間塵に埋もれた銀河の多い初期宇宙における星形成率を求め、宇宙における星形成史の全貌をはじめて明らかにできる。

以上のサブミリ波観測の狙いは、相互に深い関連を持つ。1)と2)は観測対象が共通しており、比較的近傍の詳細に観測できる天体がターゲットである。新たな原子ガス相の物理・化学を理解しつつ、それをプローブとして活用することで天体形成に肉薄することができる。一方、3)の対象は、はるか遠方の銀河を含むが、その分光データの解釈のために、1)と2)による近傍天体の研究結果は「テンプレート」として必要不可欠なツールとなる。これら3つの課題の有機的な追究こそが肝要であり、本領域を創設する意義でもある。

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