今年の抱負:巨大星誕生の仕組みを世界に発信(2013年1月)

2013年1月度のビデオメッセージ

皆さん、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

一年の初め、この1月は、昨年、2012年にどのような仕事をしたのかということを振り返り、ことし一年をどのような年にしていこうと考えているのかということに思いを巡らしてみたいと思います。

昨年、2012年の2月、大変重要な論文を一つ発表することができました。これは宇宙線の起源に関わる研究で、それに関係する招待講演等を6、7回、いろいろな国際会議でお話ししてまいりました。その研究の成果が研究者のコミュニティに次第に広がりつつあることを感じています。宇宙線は、1912年に物理学者のVictor Franz Hessによって発見され、それ以来、100年にわたって、その起源は明確に突き止められませんでした。それに関して、非常に若く、またエネルギーの高い超新星残骸で、宇宙線陽子が確実に加速されているという証拠を一つ確立することができた、そのような成果です。

ことしは、それともある程度関係がありますが、超新星爆発の主要な原因、爆発するお星さまは太陽よりも非常に質量が大きく、だいたい20倍、30倍あります。その巨大星の最後に爆発が起き、宇宙線が加速されるわけですが、一方、そのような巨大星がどのようにして誕生するのかという問題は、まだ解決していません。実は2012年1月、ちょうどいまから1年前に、大変大きな手がかりを得ることができました。2012年は、頭をひねり、また観測をどんどん蓄積することによって、巨大星の誕生の仕組みを解き明かす作業を並行して行ってきました。ことしはその成果を大きく世界に発信していく大切な年になるのではないかという予感を持っております。

思いがけなく星間空間を漂う雲同士が非常に速いスピードで衝突し、それによってガスの強い圧縮が起きます。そのようなプロセスを経て、初めて太陽の数十倍の重たい星が形成されるということを、しっかりした観測事実を積み重ねることによって、また理論的な研究と比較し、その物理過程を明確にしていく、そのようななかから2013年、世界に向けて大きく発信していきたいと考えております。

どうもありがとうございました。

【キーワード】 天体研究・観測