南米チリツアー(2015年7月)

2015年7月度のビデオメッセージ

今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

だいぶ昔の話ですが、1987年に遡ります。当時、私は一つの計画を立てまして、それを実行に移しました。それは日本で作った性能の良い電波望遠鏡を、南米のチリ、南半球に持っていって、南の空の観測をしたい、そのような先端的な研究をぜひしたいと考えました。

理由はいろいろあるのですが、一つは日本という国は、あまり宇宙観測に適当な気候ではないのです。非常に湿度が高く、また天候も良くない、晴天がありません。それに比べて南米のチリ、特に北のほうのアタカマと呼ばれている標高4000~5000mの高地は、晴天率が7割を超える素晴らしい場所です。ここに一番新しい「星の会」の会誌を持ってまいりましたが、このようなブルーの空です。これは2004年の2回目の移設をしているときの写真で、アタカマに名古屋大学の電波望遠鏡を設置しているところです。

1995年に、実はほとんど10年がかりで、周りの方々にも南米に望遠鏡を持っていくということを何とか認めていただいて、予算を付けていただきました。また、一般の方々、あるいは民間の企業の方からも、非常に多額のご寄付をいただき、このような望遠鏡で見事に南半球で観測を始めることになりました。

すでに一般市民の方々と一緒に南米のチリに行くツアーを3、4回計画し、実行してまいりました。チリは日本からみますと、本当に地球の裏側です。文化も大変違いますし、いろいろな習慣も違います。そこで20年あまりにわたって天文台をオペレートしていく、維持していくということは大変貴重な経験です。また、文化的な交流の成果も、ぜひ一般の方々に間近でみていただきたいということで、私も毎回、現地で天文台のご案内をしております。次のチリツアーは、ことしの9月に予定されております。すでに20名を超える方々が申し込まれており、いま旅行に向けていろいろな準備をしているところです。

ぜひ皆さんも、日本からチリに行くのは大変なことですが、折に触れて南半球の宇宙を思っていただき、さらに関心を高めていただければ有難いと思います。

どうもありがとうございました。

【キーワード】 情報発信電波望遠鏡