電波望遠鏡第1号に思いを馳せる(2016年1月)

2016年1月度のビデオメッセージ

皆さん、あけましておめでとうございます。ことし初めてのメッセージをお伝えしたいと思います。

お正月ですので、いろいろ楽しく、いろいろな方と一緒に食事をしたり、あるいはお酒を楽しんだり、そのような時期ですよね。

私もいろいろ経験してまいりましたが、いまふと思い出すのは、最初の我々の電波望遠鏡を名古屋大学で作った頃のことです。当時、焼津に小さな鉄工所があり、そこで口径4mの電波望遠鏡の1号機を作ることになりました。なぜ、そのような鉄工所で作るかというと、やはり安く作ってもらえるからです。研究を始めた頃は、研究費も決して潤沢ではありませんでしたので、いろいろやりくりしながら、安く、なおかつ性能の良い望遠鏡を作ってもらおうということで、月に1回ぐらいの割合で、1年あまり、焼津の鉄工所に通いました。

焼津は大変気候も良く、海産物も含めて、食べ物のおいしい場所です。よく仲間と一緒に焼津のレストランに行ってはノドグロですとか、地元のおいしいお魚を食べさせていただいて、いまでも大変良い思い出として残っております。

そのとき望遠鏡を作っていただいた法月惣次郎さんは、もう故人となられましたけれども、大変素晴らしい望遠鏡を作ってくださいました。それがいわば原型となって、現在、南米チリで動いている口径4mの電波望遠鏡「なんてん」が(現在、NANTEN2になっていますけれども)設計され、製作されました。ことしも、どんどん面白い観測結果を私達にもたらしてくれるだろうと考えております。

ことし一年、さらに一層、科学研究の意味でも、実り多い年にしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

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