アタカマ高地で大雪(2007年11月)

2007年11月度のビデオメッセージ

こんにちは。今月のご挨拶を申し上げます。

きょうは天気のお話をしたいと思います。名古屋もようやく夏が終わりまして秋らしくなり、虫の音も聞こえるようになってまいりましたが、ことしは気象が変でしたよね。いろいろなところで、そのような話を聞きます。

私達は南米のチリに「なんてん」望遠鏡を置いていますが、実はその場所は晴天率70%という世界的にも稀な、晴天率の高い場所なのです。ところが、ことしは流石に異変がありまして、冬場にものすごく雪が降りました。チリの冬場ですから日本の7月、8月、9月ですけれども、前例のない、5年あるいは10年に1度という悪天候に見舞われました。

その原因を探っていくと、どうも背景にラニーニャ現象があるようです。ラニーニャは、ペルー沖の海水温が一部、低くなってしまう現象です。これが起きますと、いろいろな形で、海あるいは気団を通して世界の気象に大きく影響を与えるようです。ことしアタカマ高地で例のない大雪が毎週のように降ったということにも、まさにこのラニーニャがつながっているようなのです。そして、おそらくそのおかげで日本でも非常に暑い夏が続きました。

1度、2度の気温の変動は、人間には非常に大きな、それこそ命に関わる影響を与えますが、宇宙のスケールでみると、1度、2度というささやかな温度変化を検知することは、ほとんど至難の技です。例えば、絶対温度で300度の天体が10度変動するかどうかということを検知できれば、かなり良い観測だということになります。このようなことをみていきますと、人間も含めて、いかに地球上の生き物がか弱いものか、環境の変動に弱いものかということを感じないわけにはいきません。現代の科学、あるいは観測をもってしても、1度、2度の変化、ささやかな変化を予知したり検知することは非常に難しいのです。起こってみなければわかりません。

そのような意味で、我々は地球の環境を、よく眺め、よく探求し、人間との関わりをみつめ続けていかなくてはいけないなと、つくづく考えているこの頃でございます。

どうもありがとうございました。

【キーワード】 電波望遠鏡