初めて買ったレコード(2009年6月)

2009年6月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

きょうはこのようなものを持ってまいりました。これはモーツァルトのシンフォニーの1番から41番まで全曲が入っているCDで、全部で10枚あります。カール・ベーム指揮のベルリンフィルの演奏です。これは私にとっては大変思い出深い演奏で、理由は小学校5年生のときに遡ります。生まれて初めて私がお小遣いで買ったレコードが、ベーム指揮の40番と41番のシンフォニーが両面に入ったLPレコードでした。本当に感激して何度も何度も聴いたのをよく覚えています。

そのころ私が喜んで読んでいた雑誌が、いまも続いている『暮しの手帖』という月刊誌です。この『暮しの手帖』にはいろいろな記事が出ておりました。最初のほうはカラーあるいは白黒のグラビア印刷で、例えば商品テストとか、いろいろな世界の街並みの写真、さらにはいろいろな室内装飾、カーテンやカーペット、あるいは家具の配置も含めたインテリアの記事が出ていることもありました。そして、全体の3分の2ぐらいは活字で、当時の有名なエッセイストの大変良い文章が載っていました。いまでも思い出しますが、沢村貞子さんや有名な日本料理店のご主人のとても味わいのある美しい日本語のエッセイが、散りばめられていたといっていいと思います。

そのなかで一つ、私の気持ちを引いたものがレコードに対する評論でした。現在もご活躍の黒田恭一さんが、1960年代の『暮しの手帖』のレコード欄を担当しておられました。私は秋田という田舎に住んでおりましたから、音楽を聴く機会がそれほどなく、黒田さんのレコードや古典音楽に対するいろいろな評論を非常に楽しく読みながら、機会があればぜひ聴いてみたいと夢を膨らませていたことをよく覚えています。

その結果として、お小遣いを手にしたときに私が買ったのが、ベーム指揮のベルリンフィルの40番と41番、K.550番と551番のシンフォニーのレコードだったわけです。その後、かなり長い期間、モーツァルトを愛して聴いておりましたが、7、8年前から少し方向を変えてみようと思いまして、ここ数年はバッハばかりを聴き続ける日々を送っておりました。たまたま数日前に、このモーツァルトのCDを取り出してみたのですが、また聴き直してみようかと思っております。

ありがとうございました。

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