絵画を楽しむ(2012年7月)

2012年7月度のビデオメッセージ

皆さん、こんにちは。今月のメッセージをお伝えしたいと思います。

前回、音楽のお話をいたしましたけれども、きょうは絵のお話をさせていただこうかと思います。

私は小さい頃から、いろいろな絵をみるのが好きで、美術館にもよく行きました。一つ覚えていることが、中学生の頃、当時、大阪に住んでいたのですが、京都の市の美術館には大変良い作品が多くありましたので、1、2年下の下級生の女子学生と一緒に、京都まで小一時間かけて絵をみに行きました。たしかゴッホだったと思いますけれども、楽しく絵をみて、休みの日の一日を過ごした思い出があります。

そのことも含めて、本当に何回、美術館で絵をみたかわからないのですが、絵と向き合うとその都度、いろいろな発見があります。良いことはいろいろあると思いますが、数十年を経て一つ考えますのは、色に対する感じ方、センスです。やはり世界の鍛え抜かれた絵描きさん達の色使いは大変に見事です。何ともいえない、普通の常識ではとても合うとは思えない色の組み合わせで、キャンバスの上に素晴らしい世界が展開されます。そのような色使いの妙は、また私達人間の色に対するセンスは、多くの良い作品を見続け、自然にいろいろなことを考えるなかで磨かれていくものではないかという気がいたします。

さらに構図の問題があります。構図も大変微妙です。通常、例えば遠近法を使って奥行きをみせます。それが普通の手段です。ただ、例えばピカソの作品をみますと、思いがけない空間の切り取り方をすることによって、人間の可能性の新しい面を私達にみせてくれる、そのような素晴らしい驚きの世界があります。例えばダリの絵でも、非常に超現実的な空間が次から次へと展開されていきます。本当に素晴らしい絵画の世界ではないかと思います。

このような絵画を楽しむときには、できればその絵描きさんが親しんだ自然に触れてみることが一つのポイントといいますか、大事なことではないかという気がいたします。最後にお話ししたダリは、スペインのバルセロナから小一時間行ったところにフィゲラス、カダケスという小さな町があり、その辺りの海辺で大変楽しく、また充実して、あるいは日によっては大変苦しい思いをしながら、絵を描き続けていました。大変海の青い、空の青い、素晴らしい自然に恵まれたところです。私もまだ一度しか行っておりませんけれども、2回目、3回目と、ダリの親しんだ土地に行ってみたいと思う、きょうこの頃です。

皆さん、どうもありがとうございました。

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