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プランク衛星と「超広域」前景分子雲観測による宇宙背景放射の研究
目次
メンバー
- 福井 康雄 (名古屋大学大学院理学研究科・教授、研究代表者)
- 奥田 武志 (名古屋大学大学院理学研究科・助教)
- 竹内 努 (名古屋大学大学院理学研究科・特任講師)
- 市來 浄與 (名古屋大学大学院理学研究科・助教)
- 犬塚 修一郎(名古屋大学大学院理学研究科・教授、連携研究者)
- 前澤 裕之(名古屋大学太陽地球環境研究所・助教、連携研究者)
海外共同研究者
- J.-L. Puget
- F. Boulanger
- J.-P. Bernard
研究目的
研究目的の概要
宇宙の起源の解明は、人類普遍の最も重要な課題の一つである。
137 億年前のビッグバンによって宇宙が誕生したことは今や確立されている。
研究の焦点は、ビッグバンに先行する急激な指数関数的膨張、すなわちインフレーションの検証に向かっている。
インフレーションは宇宙が1015GeV 程度の高エネルギー状態にあった頃に起こったと考えられており、実験室では到底検証が不可能である。
インフレーションを直接的に検証する天文学的手段として期待されているのが、インフレーション起源の始原重力波の検出である。
インフレーションに伴う急激な時空の変動は重力波を発生させ、その振幅はインフレーションが起こったエネルギースケールで曖昧さなく決定されるからである。
重力波は未だ検出に成功した例がない、天文学に残されたフロンティアでもある。
これを最初に検出する手段として期待されているのが、宇宙背景輻射の偏光揺らぎの観測である。
インフレーションによって発生した始原重力波は、特徴的なパターンで偏光する。
この偏光は、Bモード成分と呼ばれ、宇宙背景放射の高感度な測定によって検出できる可能性がある。
B モード成分を測定する、あるいは上限を押えることで、現時点で100 以上あるインフレーションモデルのうちから有力候補を大幅に絞り込むことができる。
現在、多くの地上・上空実験が、背景放射のB モード成分の検出を目指している。
しかし、背景放射は常に銀河系の前景放射を伴っており、特にBモードはどの波長域でも他の成分よりも卓越することがない弱い成分である。
つまり、前景放射の偏光を精確に測定すること抜きにはB モード偏光の検出は不可能である。
本研究は、全天にわたりミリ波サブミリ波偏光を測定しているプランク(Planck)衛星の観測データを解析し、前景成分を高い確度で分離することによって、宇宙背景放射のB モード偏光の検出を目指す(参考 PlanckBluebook)。
そのために、世界最高の観測サイトにあるNANTEN2 を用いて超広域分子雲観測を行ない、星間ガスと磁場の寄与をかつてない精度で推定して前景成分を定量的に評価する。
実際、分子雲の分布とプランクの初期データは予想以上に高い相関を示しており、分子雲が偏光に寄与していることは確実である。
本研究は、前景成分とプランクの観測結果から、背景放射のB モード成分を導くことを目指して、プランク衛星計画を担うフランス(宇宙空間物理学研究所略称IAS)との国際共同研究として遂行する。
数ある同種の実験の中で、前景成分の解明に正面から取り組む計画は他に類がない独創的なものである。
さらに、星間物質自体の物理状態の解明にも大きな成果が予想されるなど、本研究で得られる分子雲の広域データはレガシー(Legacy「歴史的共有財産」)として大きな波及効果が期待される。
宇宙背景放射とインフレーション:宇宙創成解明の鍵
137 億年前のビッグバンによって宇宙は創成した。
初期の宇宙は極度に高温で高密度であった。
それ以来、宇宙は膨張・冷却し、銀河の形成と進化が進み現在に至った。
この爆発的な宇宙誕生の膨大なエネルギーの源を解明することは、人類の宇宙理解における極めて重要な課題である。
そのため、宇宙史の最も初期にさかのぼり、爆発的な宇宙誕生の物理過程を理解することが求められる。
ビッグバンをさらに詳しく見ると、最初の10-33 秒後にインフレーションと呼ばれる30 桁に及ぶ急激な指数関数的膨張が起きたと考えられる。
この急激な膨張によって、現在の宇宙では相互作用できない距離にあるはずの異なる点が驚くほどに一様な物理状態を持つこと(地平線問題として知られる)が可能になったと推測される。
インフレーションの痕跡は、ビッグバンの38 万年後、「宇宙の晴れ上がり」に際して放たれた電磁波に刻まれ、宇宙マイクロ波背景放射CMB [Cosmic Microwave Background] のゆらぎの特性として観測される。
「宇宙の晴れ上がり」は、電磁波と相互作用していた自由電子が冷えて陽子に捕捉され、水素原子となることによって生じる。
CMB は1965 年、ペンジアスとウイルソンによって発見された。1992 年、COBE 衛星によって、CMB が高度に等方的で、精確にプランク分布を示すことが明らかになった。2003年、WMAP 衛星はさらに高分解能・高感度でCMB の測定を行ない、宇宙がほぼ完璧に平坦であることを証明したことで、インフレーションの存在を強く示唆した。
これらの発展を受けて、現在の最大の課題はインフレーションの実験的な検証にある。
特に現時点で100以上を数えるインフレーション理論モデルを観測的に制限し、有力候補に絞り込むことは急務である。
プランク衛星を含めて多くの新たなCMB 測定実験が計画され、実行されている。
前景としての星間物質の重要性:本研究の目的と独創性
2009 年に打ち上げられたプランク衛星は、周波数30-900GHz の9 バンドでCMB の偏光観測を行なっており、すでに最初の1 年の観測結果が全天について得られ、予備的な解析が進められている(図1)。
プランク衛星によって、史上最高のCMB とその偏光の全天観測結果が得られることは確
実である。
地上実験が角度的に小さなスケールの偏光分布を測定するのに対し、プランクは唯一10
度スケールの大局的な偏光分布を測定する点で相補的である。
また、WMAP 衛星は100GHz 以下のシンクロトロン放射の偏光が効く周波数帯で観測したが、プランクの周波数帯ではダストの偏光が重要である。
我々がプランク・コンソーシアムと共同で行った予備解析により、現時点で明らかになった最大の問題は、「前景成分」の寄与である(図2)。
前景成分は、主に銀河系内の星間物質からの偏光したダスト放射である。
WMAP の角度分解能1度で銀河面外では顕著に見えなかったこの成分は、1桁程度分解能の高いプランクのデータでは顕著である(図1)。
すでに2005 年にワイスらによって指摘されたとおり「偏光した天体物理学的な前景成分、特に銀河系成分の系統的な研究」が、CMB の導出において最も重要な課題である(Weiss et al. 2005, “Task force on Cosmic Microwave Background research”)。
プランクは、偏波観測によって、E モードとB モードを精度よく導くことを目指している。
特に、B モード(ベクトル解析におけるrotation を持つ成分)はインフレーションに伴う重力波によって生じると予想されるため、振幅の微小なB モードの検出がインフレーション検証の鍵を握る。
しかし、B モードはどのバンドでも卓越することがなく他の成分に埋もれており、上に述べた強烈な前景放射を差し引くことによって、初めてB モードの検出が可能になる。
そのためには、観測的宇宙論を星間物質研究と融合し、放射の全体像を明らかにして、両者を分離して導くことが必須条件であり、ここに本研究の独創的な狙いがある。
本研究の目的は、前景成分の寄与を精度よく求め、CMB の偏光におけるB モード成分を有意に検出することにある。
プランクの主要周波数帯100GHz 以上では、前景成分の偏光は磁場によって整列した棒状のダストによるものが主である。
ダストは主に中性水素HI と水素分子H2 からなる中性星間ガスに附随する。
これらのガスの電離度は低いが、ガスは磁場に強く結合しており(凍結磁場)、磁場の空間分布は星間ガスの密度分布と速度場によって強く影響を受ける。
その結果、銀河系の大局的な磁場構造に加えてより小さなスケールの分子雲と強く相関する磁場分布がダストの偏光に大きく影響する。
またダスト自体も周囲の密度や放射あるいは乱流によって成長・破壊されるなどの影響を受け、偏光が変動すると予想される。
その結果、偏光の向きは、磁場の大局的な分布を反映しつつさらにガスの乱流による局所的な成分が重なり、前景成分の偏光を決定すると考えられる。
B モード検出のためには、このような全星間過程を経験則を含め物理的に明らかにし、観測データの解析とモデル化によって精度よく推定することが必要不可欠である。
従来、宇宙論研究は星間物質分野との交流が少なく、両者の専門性は独立に発展してきた。
プランク・コンソーシアム全体においても宇宙論研究者が大部分であり、星間物質の専門知識を導入することが背景放射の全面的な理解のためには是非とも必要である。
また、プランクの観測データには、CMB 以外の銀河系の放射に関する情報が豊富に含まれており、星間物質の物理学の観点からも本研究の意義は大きい。
星の形成という重要な過程においても、ガスの力学に磁場が強く影響していることはよく知られるが、磁場の定量的な詳細については、観測が乏しいために定説がないのが現状であった。
従来の偏光の情報は減光に強く影響される可視光が主であり、透過性の高いミリ波サブミリ波帯で全天にわたる偏光が明らかになることは、大きなブレイクスルーをもたらす。
このような問題意識から、前景成分を扱う第7ワーキンググループ(WG7)がプランク・コンソーシアムに作られ、我々とフランス側共同研究者が検討をリードしてきた。
これは、従来にない新たな融合的な視点であり、本研究の独創である。
研究の必要性
概要
プランク衛星の観測データは、宇宙背景放射CMB からインフレーションの刻印を検出するために最も優れたCMB 実験の一つである。
しかし、前景成分のダストなどによる偏光が卓越する中で、強度の弱いインフレーション起源の偏光を切り出すためには、前景放射の原因である星間物質の最高の観測結果と物理過程に対する深い理解が必要である。
本研究は、知りうる限り世界で唯一、前景成分の深い定量的理解に基づいてCMB のB モード偏光を導こうとする独創的な計画である。
我々は、そのために必要な星間分子雲の超広域観測を実行しうる世界最先端の実力を持ち、共同研究者であるフランスの赤外線グループと強い連携研究の実績を有する。
我々は2003 年より本研究の準備を重ね、プランクの初期データがコンソーシアムに内部公開された現時点において、研究計画を最適化し前景成分の徹底した観測と解析を行って、宇宙論の最重要課題であるインフレーションの実証問題を解決する。
本研究は、高い緊急性を持つ、極めて重要な課題である。
国内外の動向
国際的に見て、CMB の研究は近年飛躍的に発展してきた。
特に2003 年以降のNASA のWMAPによる観測成果は著しく、宇宙年齢を始めとする膨張宇宙の基本的なパラメータが求められた。
地上観測では、チリ・アタカマ高地に設置されたカリフォルニア工科大学のCBI(Cosmic Background Imager)による研究が、WMAP と相補的に小さな角度スケールの揺らぎを明らかにした。
また、気球実験ブーメランも関連する成果を上げている。
現在、宇宙論実験の課題は、宇宙創成の最初期のインフレーションの物理を解明することに重点を移している。
CMB からインフレーションの物理を探る唯一かつ強力な手掛かりが、CMB のB モードと呼ばれる偏光の観測である。
宇宙背景輻射は宇宙の晴れ上がりの瞬間のトムソン散乱により、光子の四重極分布を反映した直線偏光をすることが知られている。
密度揺らぎ型の四重極分布からは、そのスカラー型の特性から揺らぎの波数ベクトルに対して、垂直または平行な向きに偏光を生じる。
この偏光パターンはE モードと呼ばれ、既に観測が進んでいる。
これに対し、テンソル型である始原重力波は、E モードとは異なる特徴的なパターンで偏光する。
これがB モードである。
B モード偏光の検出を目指して、多くの実験が地上で行なわれている(図3)。
一方、起源がインフレーションであるためには、宇宙地平線を超えた揺らぎ(=大角度スケール)が決定的である。
また、小角度のB モードが、重力レンズによるシグナルより小さくなってしまうくらい始原重力波の振幅が小さい場合は、さらに大角度スケールが決定的に重要になる。
本研究で用いるプランク衛星の観測は、全天をカバーし10 度オーダの偏光分布をとらえることのできる唯一の実験である(図3)。
特に、10 度オーダでのB モードは、振幅が比較的大きく(図3 の↑ 部分)、観測の確実さを考慮すると、プランクが最も有望かつ重要な実験になると予想される。
本研究における、前景成分の研究を本格的に進める研究戦略は、他には見られない大きな特色である。
宇宙論研究と星間物質研究は従来交流がほとんどなく、相互の知見を十分に交換し咀嚼することがなかったことは、CMB 研究における無視できない弱点である。
本研究は、星間物質研究者が、宇宙論分野に取り組み、全天の70%を占める星間物質の放射特性の解明を通してCMB 自体の偏光を解明する点で、世界に類を見ない。
国内ではCMB の実験研究は皆無に近かったが、平成21 年度より新学術領域「背景放射で拓く宇宙創世の物理」(羽澄昌史 高エネルギー加速器研究所・教授 代表)が発足し、アメリカの実験計画QUIET 等に参加してCMB 研究グループをKEK に立ち上げつつある。
本研究計画の成果は新学術領域研究と相補的であり、大きな相乗効果が期待できる。日本の長期戦略として、本計画を含めてさらに広範にCMB 研究グループを育てることは、今後この分野における日本独自の成果をあげ、存在感を向上させる上でも意義が大きい。
プランクとの連携:本研究の経緯
1991 年よりフランスのIAS グループと緊密な共同研究を行い、本格的な赤外線サブミリ波観測衛星と地上電波望遠鏡による分子雲観測との連携を追究してきた(例 Abergel et al. 1994, ApJ, 423, L59)。
IAS グループは、EU を代表してプランクのコアメンバーとしての役割を果たしている。
2004 年度より、JSPS SAKURA プログラムによってIAS グループと連携研究し、プランク計画への参加の検討を開始した。
これは、2005-2009 年のJSPS 先端研究拠点事業(拠点形成型、国際戦略型)へと発展し、データ解析の準備が継続された。
さらに、2007 年6 月18-20 日、ツルーズにおいて開催されたプランク・コンソーシアム会議において本格的な議論を行ない、なんてん望遠鏡による「なんてん銀河系分子雲地図第1 版・NANTEN Galactic Plane Survey ver. 1(NGPS ver.1)」をプランク・コンソーシアムWG7 において使用するMoU を締結した。
これ以降、プランク・コンソーシアムのメンバーとなり、プランクとの連携研究を進めてきた。
WMAPの結果についても前景成分の評価が適切に行なわれていないのではないかとの懸念を持ち、プランク計画に前景を研究するWG7 を提案した経緯がある。
プランクは銀河系の星間物質自体についても貴重な観測データをもたらすことが明らかであり、CMB と星間物質の総合的な研究を目指してきた本研究はユニークな位置を占める。
2010 年初頭、プランク1 年目の観測結果から、夥しい前景放射が銀河系から放たれていることが明らかになり、前景成分の定量が従来考えられていたよりもはるかに重要であることが明確になった。
これまでに我々の日仏共同研究が行なったNGPS ver.1 との比較から、背景放射と分子雲との相関が非常によく(図1オリオン座分子雲の例参照)、分子雲のデータが放射特性の理解のために必要不可欠であることが強く示唆される。
従って、分子雲を含めた星間物質の偏光への寄与を解明することは大きな意義がある。さらに、我々の解析から100GHz・200GHz・300GHz 帯では、プランク帯域内にCO の3同位体のスペクトルが混入していることも明らかになり、CMB の導出のためには、前景CO 分布の完全な把握と差し引きが必要不可欠であると考えられる。
また、NGPS ver.1 では、空間的なサンプリングが4 ないし8 分角と粗く、プランクとの比較においては、OTF 法による完全なサンプリングが必要であることも明らかになった。
このような経緯を経て、NGPS ver.1 を超える、超分子雲広域観測、NANTEN Super-CO Survey as Legacy [NASCO]が立案されたのである。
本研究の期待される成果と緊急性
本研究では、星間物質のガスとダストを専門とする研究者が、宇宙論研究者らと共同して本格的に宇宙論研究に参入する。
本計画の観測目標は、CO 分子の広域観測として史上最高の2000 万点規模のものであり、チリから観測できる全天の70%をカバーする。
NGPS ver.1(観測点数110 万点)を大きく上回る歴史的な観測成果となる。
これによって、プランクと綿密な比較研究が初めて可能になり、前景成分の評価が飛躍的に前進し、CMB のB モード成分の導出が高い確度で実現すると期待される。
これは、現代宇宙論における最大の貢献となる。
さらに、NASCO のデータは、本研究以外にもフェルミなどガンマ線との比較を始めとする種々の天文学研究に活用されることが確実であり、宇宙における構造形成など、他の物理学の分野にも大きな波及効果を与えるであろう。
宇宙論実験には、世界的に多数の研究者が集中的に参加しており、高度な競争的環境にある。
プランクの観測データが逐次公開される中で、本研究は、迅速に進めることが重要であり、高い緊急性がある。
研究計画・方法
研究計画・方法の全体像
本研究の目的は、プランク衛星の観測結果を用いた、前景成分の物理的な定量的評価と、CMB の偏光の導出である。
本計画はプランクのCMB 解析チームが構想する解析計画を超えて、前景放射の差し引きを行なうものであり、宇宙論と星間物質研究を結びつけて背景放射の革新的な理解を目指す。
NANTEN2 を用いた史上最高の超広域分子雲観測NASCO が本研究独自の観測の主軸である。
すでに2010 年4 月より試行用の1チャネル100GHz 帯新受信機を開発しており、2011 年初頭から観測を始める予定である。
研究計画は大きく、以下の、タスクI) 超広域分子雲観測と、タスクII) 広域観測結果の解析とからなる。
タスクI) 超広域分子雲観測 NASCO
観測史上最大の2000 万点について、12CO、13CO、C18O 各分子のJ=1-0 遷移(波長2.6-2.7mm, 周波数110-115GHz)によるOTF(on the fly)観測を行う。
観測には南米チリ・アタカマ高地に2004年に設置された4m サブミリ波望遠鏡NANTEN2 を用いる。
角度分解能は2.6 分角(約160 秒角)、分光データは50 秒角でサンプルする。分光計はデジタル分光計を用い、分光における速度分解能は約0.16km/s とする。
約7 ヶ月の観測で総観測時間(オーバーヘッドを含む)は1年間あたり約107 秒を達成し、4 チャネルで1000 万点/年が観測できる。
さらに、12CO のJ=2-1(波長1.3mm, 周波数230GHz)、J=3-2(波長0.8mm, 周波数345GHz)遷移の受信機を開発し、J=1-0 観測結果から選択した重点領域について、それぞれ約100 万点と約10 万点規模の観測を行なう。
タスクII) 広域観測結果の総合的解析
前景成分の評価のために、NASCO とともにHI データも併用して星間物質の密度と速度分布を導き、プランクの偏光から射影された磁場を求めて、銀河系磁場の3 次元モデルを構築する。
CMB データとしては、プランク、BICEP、EBEX、SPIDER 他(図3)を用いてデータベースを整備し、星間物質については、PILOT、BLAST、EoR、CGPS、SGPS、GASS 等を活用する構想である(表1)。
プランクの観測結果と比較しつつ、モデル磁場のパラメータを収束させる。
よく知られた近傍分子雲を含む高銀緯部分から始めて、低銀緯部分にモデル化を拡張する。
また、プランクの結果は年次ごとに更新して、逐次精度を上げる。
最終的に最善のパラメータを求めてCMB のB モードを導く。
表1 本解析に用いる主な各種観測データベース
| ターゲット |
計画(観測装置) |
観測波長・周波数 |
観測領域 |
分解能 |
| 星間ダスト |
偏光観測 (PILOT) |
240, 550 μm |
0°<銀経<360°, -10°<銀緯<10° |
1.4-3.3 分角 |
| 星間ダスト、遠方銀河 |
Extra/Galactic source (BLAST) |
250-500 μm |
超新星残骸、黄極領域 |
30-75 秒角 |
| 宇宙再電離の痕跡 |
EoR (LOFAR) |
10-240MHz |
赤緯>-7° |
数秒角 |
| 水素原子ガス(HI) |
CGPS (DRAO Synthesis Telescope) |
1420MHz |
63°<銀経<175°, -3.6°<銀緯<5.6° |
1 分角 |
| SGPS (Parkes +ATCA) |
1420MHz |
253°<銀経<358°, 5°<銀経<20°, -1.5°<銀緯<1.5° |
2 分角 |
| GASS (Parkes) |
1420MHz |
赤緯<1° |
16 分角 |
| 分子ガス(CO) |
NASCO (NANTEN2) 本計画 |
110, 230, 345 GHz |
赤緯<37° |
0.7-2.6 分角 |
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